キャバレーは男を磨く道場だ

赤い灯青い灯、数あるネオンの誘惑を振り切り今夜もキャバレーへ

腰抜かした

佐野キリコがキャバレー“グランドサロン十三”でショーをした

 

いつも指名しているホステスが

「大先生は佐野キリコを知ってるの?」

「よ~知ってる、友達や」

「どんな人?」

 

「日本全国を劇して回ってるオバチャン」

「ふ~ん」

「オレの家の近所のオバチャン」

「ふ~ん」

 

「いつもダサい赤い振り袖を着て踊ってる」

「ふ~ん」

「マンガみたいな化粧をして、歌はガナってる感じ」

「ふ~ん」

 

「“グランドサロン十三”のステージで、いったい、どんなショーをするつもりやろ」

 

ショーの時間が近づいてきた

ステージの前を歩くセクシーなドレスの美人を指差してホステスが

 

「あの人が佐野キリコ?」

「違う、違う。キリコはいつもダサイ赤い振り袖を着てるて言うたやろ」

「あ、そうか」

「あれはここのホステスや」

 

「違いますよ」

「ここのホステスや」

「私、あんなホステス知らない」

「新入店の新人やろ」

 

「違うと思うけれど」

「エッ!」

「えっ?」

「エ~~ッ、エ~~ッ!」

 

「大先生、どうしたの?」

 

セクシーなドレスの美人がステージに現れたと思ったら、踊り出した、歌い出した

 

「キ、キリコや。近所のオバチャンや。いつもと全然違う~」

 

佐野キリコはこの日、愛の讃歌、サントワマミー、ラストダンスは私に、などシャンソン、ミュージカル曲で飲み客を圧し、ホステスを感動させた

 

「・・・す、す、すごいや~~!」